私が覚えている一番古い記憶は、初めて幼稚園へ行った日だと思う。
訳がわからないまま母に連れられ、そのまま置いてきぼりにあったような、そんな気持ちだった。
元々私は無口で意思表示が苦手だ。遊ぶ時は一人遊びが好きだった。
園庭では、みな元気いっぱいに友達と遊ぶ中、私は友達の作り方も、喋り方も、接し方も、よく分からず、環境に馴染めず、隅っこの方で砂遊びや、蟻の巣に砂を入れたり、花の蜜を吸ったりして、一人の世界を楽しんでいた。
ある時、ちょっと気の強い友達ができた。
私が動揺したり、困ったりするような事を平気で言ってくる意地悪な友達だ。
私はその言葉を信じ、平然を装ってはいたが、内心不安でしょうがなかった。
ある日『顔にあるホクロを取ってこないと、明日○ぬよ。』と言われ、私はそれを本気で信じ、親にも言えず、どうしよう、どうしようと不安で、ホクロを取ろうともしたが、痛くて無理だと断念。
次の日、友達はホクロの事には触れず、普通に過ごしていた。私はあれ?と思ったが、○なずに済んだと安心した。
意地悪な子ではあったが、私は側に居てくれるだけで、なんだか嬉しかった。
友達が出来た事が嬉しかった。